技術英語・テクニカルライティング

KJTD海外担当RKです。

コロナウイルスの影響が私たちの業務にも残念ながら出てきております。お取引先の皆さんの状況も日々確認したりしていますが、いろいろと心配に。収束してもこの余波は避けては通れません。いろいろと対策を考える毎日です。

そんなこんなの毎日ですが、今日は英語のお話について触れたいと思います。

英語といっても、特殊な分野、技術英語・テクニカルライティングについてです。

皆さん学生時代から長く勉強されてきて、馴染みが深い英語ですが、英語にも様々な種類があります。日本語に置き換えて考えるとイメージしやすいですが、日本語でも書き言葉と話し言葉が違いますよね。それと同じ感覚です。

私は業務の中で英語は必須ですが、「複数の英語のモードを業務によって使い分けている」という言い方が一番適切かなと、現在は思っています。
もちろん話す方も違いはありますが、書く方はかなり違います。

仕様書・取扱説明書などの技術文書を作成する際には、テクニカルライティングというスタイルを使用します。使用した方がよいというのではなく、「使用しなければならない」という表現になります。
使用していないと、「この会社大丈夫か?もしかして知らないのか?」のレベルです。

テクニカルライティングはWikipediaでは次のように規定されています。
Technical writing is writing or drafting technical communication used in technical and occupational fields, such as computer hardware and software, engineering, chemistry, aeronautics, robotics, finance, medical, consumer electronics, biotechnology, and forestry.
(出典:Wikipedia)

それがどうした?な感じですが、なぜわざわざ特殊な書き方をしなければならないかというと、楽しむために読む文学などとは違い、技術文章では「誰が読んでも同じ理解」が得られるように書くことが求められます。
文学などでは、いろいろな解釈があるよねとか、ここは韻をふんでいてステキね!などなど、楽しみが考慮に入ってきます。
一方で取扱説明書の場合、誰が読んでも同じ操作になるよう導く必要がありますよね。例えば機械の取扱説明書を読んでいて、読み違えて、機械を壊しちゃったということは絶対に避けなければなりません。

よってテクニカルライティングでは3Cという点が重要とされています。
 Clearness:正確さ
 Conciseness:簡潔さ
 Correctness : 正しさ

この方針に従うと、皆さんが学生時代からおなじみの受動態はNG。(受動態でしか書けない場合はもちろん使用OKですが、使わずに書けないかどうかをかなり検討しなければなりません)
例えばですが、中学校で習ったこんな文章。
If you push the button, new screen will be opened. 

テクニカルライティングで書くと次のようになります。
Pushing the button will open new screen.

なんだかスッキリ。わかりやすい!

他にもいろいろとルールがあります。
日本人が苦手な冠詞(a, an, the)の使い方にも言及があります。ここは特に難しく、私は完全な理解には至っていません。中学校の英語の授業で教えてもらった理論では、残念ながら解決しません。
私の場合は冠詞の部分についてはネイティブにチェックしてもらって、正しく修正してもらうという方法をとっています。

ご興味のある方は、私が尊敬するテクニカルライティングの先生のひとり、中山裕木子先生の書籍をご覧ください!

中山先生はテクニカルライティング以外にもシンプルイングリッシュについての書籍を多数出されており、こちらは誰でも参考になる内容ですので、おススメします。(2017年にTV「世界一受けたい授業」でも登壇!)

高専や大学の工業系学部ではテクニカルライティングを学習するようですが、普通の教育現場では登場しません。大学で語学を専攻していた私でも、その分野を知ったのは社会人になってからです!

テクニカルライティングは本当に難しく、日々勉強そして勉強!
このコロナウィルス騒動で、3月に予定していたテクニカルライティングのセミナーが延期になってしまいました。残念。
次の機会を楽しみに待ちたいと思います!